雇用の流動化について | 30代の中途採用
日本の成長戦略の一環として、雇用規制を緩和が提案されています。
その理由は、雇用を流動化させることで、新たな産業へ雇用シフトを促すというものです。
大企業の場合には、クビ切りすると、マスコミで話題になり、企業イメージが損なうため、なかなか実施に踏み切れていないのが現実です。
そのため、大企業の中には、辞めて欲しい社員をまとめてリストラ部屋に押し込んで、プライドをずたずたにして、自主退職に追い込んだりしています。
一方、中小企業では、雇用の流動化を緩和しなくても、日常茶飯時に、クビ切りが行われています。
中小企業は、知名度が低く、企業イメージを損なうこともないからです。
日本全体の90%以上が中小企業であることを考えると、現時点で、既に、雇用は流動化していることになります。
日本の雇用規制がゆるいことは明らかで、経済協力開発機構(OECD)が2008年に発表した調査結果からも、解雇保護法制度指標の国別比較において、解雇しやすい国の上位に位置しています。
問題なのは、雇用は流動化していても、転職しやすい環境にないことです。
まず、失業期間が長いと、採用を手控える企業が多いことです。
それと同時に、スムーズな転職ができるような普遍的なスキルや知識を教える仕組みが乏しく、派遣社員などの非正規社員の多くは、他業界に通用する汎用的な技術を習得できていません。
正社員ですら、定年まで雇用を保証することが前提なので、社外に通用するスキルを身につけさせるという発想がありません。
というよりも、社外に通用するスキルを持たれると、辞められる危険性があるので、あえて、その会社でしか通用しない人材を育成しているのではないか、と思います。
私から言わせれば、社内の新陳代謝を促すためにも、社外に通用する人材を大量生産するべきだと思います。
社内の出世競争に敗れても、社外で通用する能力を持っていれば、辞めさせなくても、辞めていき、若い人たちにチャンスが回ってきます。
出世競争に敗れて、社外に通用する能力もなく、やる気をなくした中高年社員が、会社に来てだらだら仕事をされたりすると、組織に弊害を及ぼします。
一部の大企業は、既に、このような状況ではないかと思います。
このように、会社に、社外で通用する普遍的なスキルの習得を求めるのは無意味です。
例外として、リクルートのように、社員を鍛え上げて、独立起業を目指す文化のある会社は、すばらしいと思います。
巷では、ブラック企業とよばれている仕事環境がハードな企業もありますが、中には、ハードな仕事をすることで社外に通用する普遍的なスキルを習得できるところもあると思っています。
将来のことを考えてスキルアップしたいのであれば、自分で人生設計を考えて、スキルアップしていかないといけません。
その手段として、転職が必要であれば、転職したらよいかと思います。
何事も、学ぶためには、中に入って学ぶことが一番です。
自分が極めたい分野の会社に入って、基本を学ぶことは効率的です。
今後、同じ会社にずっと働き続ける人がいる一方で、複数の会社を渡り歩く人たちが増えていくことは時代の流れであり、それはスキルアップの手段にもなります。
ただ漠然と会社が合わない、とか、上司が嫌いだから、とか、給与条件がよいから、といった理由での転職は、間違いなく人生の失敗を意味することを理解しておくことです。
参考)おすすめの転職サイト